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2014年04月18日
オリエンタルホテル様 チャペル広告撮影
 オープン以来、撮影をしているオリエンタルホテル様からチャペルの撮影の依頼があった。オープンの時から誌面に載せているアングルは右サイドからの斜めアングル。チャペルのアシンメトリーの形、デザイン性、横に広がるウオーターテラスを考えれば斜めがベスト。斜めの欠点でもあるバージンロードの隠れ方もこのチャペルには問題なく、幅の広く、長い大理石のバージンロードはしっかりと見える。
 
 今回のオーダーは正面。理由は第三者が見た時のチャペルは正面のイメージがあるから。このチャペルの正面からのアングルには一つカメラマン泣かせの点がある。
 
 人間の目はとてつもない広い視野があり、その中で脳とリンクし、必要な部分をはっきり見る事が出来る。言い換えれば必要でない部分は見ていながらカットしている。このチャペルは天井がウッドの茶色なので明るい陽射しの射し込むチャペル中で実は凄く目立つ。写真にはフレームがあり、この茶色の天井が面積を占める。
 
 カメラを正面としアングルを決める時、前に出て広角、後ろに下がり望遠側を決めなければならない。私は4×5の90㎜を基準にしているため24㎜から合わせるようにしている。このチャペルは仕上がりの天井の面積から21㎜で撮影となった。
 
 仕上がりはシンプルな空気感で射し込む陽射しが穏やかで、インパクトよりも自然さを意識して仕上げている。しかし、実は撮影中に頭を悩ませる事態が発生していた。撮影開始が3時前。進行後1時間位まで穏やかに入ってきていた陽射しが、暴風と共になくなり、暗く、寒く、低コントラストのチャペルに変わってしまった。
 
 そのまま撮影をしても問題はなく、ただ頭に残る光の記憶が迷わせていた。ライティングに頼る事も出来るが記憶の中の光は再現できず、選んだ方法は私がよくスタッフに話しているAとBのライト理論だった。一つの光を強めたいなら他の光を弱めることである。単純な事だが、人工の光を扱うにはよく使われる事である。
 
 室内照明を切り、外の光を増幅出来るようにした上で、人工光でハイライトを入れ、定番の編み出した技でチャペル内のディティールを描き出している。本番のタイミングは曇り空の外風景からの光が室内適正の一絞り強の時点でシャッターを切り始めた。結果ほぼ記憶と変わらない光となっている。
 
 今回の話のコアはここにあります。
 
 撮影自体が3時間前後もかかる撮影では当然光の状態も変わる。今回のように急変は珍しいが、頭の中にあるイメージを大切にすることには変わりなく、そこに向かっていく方法を何種類かは持っておきたい。いつも思うことだが、プロの凄さは極限域で見えてくるものだと思っている。普段からそこまで追い込んで仕事をするこ状況はあまりないが、新しいもの、身に付くものはその状況で多くを学ぶと思っている。実は急激な天候変化の後テストを撮り、その画像の光感の悪さに撮影を翌日に廻すお願いをするべきか本気で悩んだ。その場にいたスタッフは普通に撮影を終えたと感じているだろうが、私の緊張は計り知れなかった。
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ORIENTAL HOTEL