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2014年04月01日
ブライダルスナップの記憶3
 もう5年近く前の夏、日本有数の避暑地軽井沢で700人を越えるゲストのパーティーを撮影をした。アルペンスキーの皆川さん、モーグルの上村さん。素敵な二人と私がお会いしたのは挙式前日だった。夕方のややくらい客室で現れたのは分厚いガタイの気さくな皆川さん。奥におられたのが美しいオーラに包まれた愛子さんだった。テレビで見ている姿はアグレッシブな姿が多いが、会話をして前におられるお二人は静かで周りの事から考える謙虚な人物だった。有名人ということもあり今まで殆ど口にはしていなかったが、ブライダルを離れ記憶の中で振り返ればやはり圧倒的な印象の深さで薄れて行く前に話を書き留めたかった。
 
 有名なモデルを撮影したり有名な会場を撮影したり、いつも思うことは普段通りに写真を撮りたい、という気持ちである。逸る気持ち、背伸びをしようという気持ち、それらは重圧となり正常な判断を妨げて行く。身体も硬くなり、不必要な力は極度の疲労を味わせる。2日間に渡った軽井沢での撮影は私にとって最高のパーティーの一つとなった。
 
 2日目に行われた700人規模の対外的なパーティーよりも前日の親族の皆様のパーティーが忘れられない。そこにある姿はカメラマンであればずっと撮影をしていたい、と思える本当の祝福をされたパーティーだった。
 
 たくさんの結婚式を撮影していると人間には過去があり、現在が成り立っていることがよくわかる。過去の問題も今の問題も先の問題も見え隠れをする。
 
 ブライダルの魅力はとてつもなく大きいものだが、私は様々な人の感情を捉えられる事が魅力だと言い切る。そんな写真を残したい、ただきれい、ただ面白い、ただ写真がいい、そこからもう少し内面性を捉えたかった。写真を後に見る人が何時間も私の写真を見て考えて、感じてくれる姿が理想だった。追い求めていたものはその理想だった。
 
 今回の話のコアはここにあります。
 目で見えるもの、心で感じるもの、その二つを撮り分けていくことがブライダルスナップだと思っています。きれいな場所できれいな新婦を撮るカメラマンはたくさんいます。それでは描き足りないものがあります。心です。関わる方の心を写したいと今でも思います。
 
 オリンピックも素敵な愛子スマイルを応援したいと思います。
 2014/1/6 髙坂宗志

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