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2014年04月30日
6Hotels Food Photography
 コースを並べた料理写真の違いはどこにあるのだろう。私は料理の写真を教わった事がない。勿論師と呼ぶ方には付いていたが日常の会話に潜むヒントに気付くことが唯一の勉強だった。料理撮影は苦手だった。違いがわからなかったからである。描写、ライティング、注意点、レストランとホテルの違い、被写界深度の違い、などである。実は未だにわからない理由もあるのがFood Photographyである。確立された理論の裏付けが欠けている。つまり人に説明ができない。
 
 今はネットでライティングもたくさん見ることが出来る。だがそこにも疑問が残る。同じライティングが並んでいる。
 機材や場所による多少の違いはあるが、みんな同じに見える。。もし私の料理写真をネットにライティングを載せていても違和感はないかもしれない。
 理論に裏付けされた仕事をしたいと常々思う。
 ネットで見たからやってみました、そんなものに誰がお金を払うの?とも思う。
 お皿の影、プレートの重なり、配置の順番、コントラストの強弱、光のグラデーション、赤色の強弱、そういったものを調整する技術はあっても確立された理論がない。
 
 あれもない、これもないと書いてきたが昨年神戸の阪神淡路大震災で親を亡くした子供達に向けてのチャリティイベントとして神戸の主だったホテルが前菜とデザートを共通として、メインとスープを各ホテルのオリジナルとして組み合わさった素敵なランチがプランニングされた。その時は神戸オリエンタルホテルさんにて全てのシェフが集まり、私が撮影をした。今年は健康をテーマにしたそれぞれのホテルのオリジナルのランチが集まった神戸6thHotelsグランシェフチャリティーランチと名付けられたそのイベントはもう13年になる。
 
 クライアントの都合上、狭い個室での撮影だったが6つのホテルのそれぞれ撮影された料理写真が並ぶということでそこに違いを出さなければ評価は出ないため、ここ数年、試行錯誤をしてきているコース料理のハイライトを明確にする撮影で行った。単純な事だがひと手間をかけていく事が、また頭の中で理想とすることを具体化していく努力がスキルを上げて行く。
 
 今回の話のコアはここにあります。
 自分1人が撮影をする場面では比較はしにくいため、差は見えづらく、容易にボーダーラインを決めてしまいがちとなる。ブライダルの現場は特にそうなりがちで、努力をする気持ちを持ち続けていくカメラマンはなかなか見当たらない。
 不思議とコマーシャル関係はそういう感じよりも切磋琢磨している同業者をよくみかける。その仕事の成否がこれからの仕事に影響することや、クライアントの思いを結果で表現する必要があるからなのか、私には心地よい。
 
 自分以外に複数のカメラマンが存在し、自分と同じ現場で撮影をする。
 現実にそういう状況下での撮影をすることを意識出来ればボーダーラインは必ず上がる。これからもそうした意識の元、目の前の一枚に取り組んでいきたいと思います。

 045.jpg

ORIENTAL HOTEL

神戸6ホテル グランシェフ チャリティーランチ