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2014年05月14日
アルモニーアンブラッセ様 広告撮影 Vol.1
 そこに立った時に、何が最善かと考えた私はディレクションに具体化出来ない、という感覚を持っていた。カメラの引きが、画角の入れたい横幅に対して足りていない。左のオープンキッチンを入れると窓面の大きさが小さくなる。16ミリでようやく画角内に入りそうな感じではあるが表現に難しいがバランスが悪い。天井高も広角レンズにより遠く小さく見える。私はこのパターンが苦手である。得意な人も少ないかもしれないが、広角で撮影をして広角で撮ったように見えない結果を欲しいと思う。
 
 この会場は横に大阪の街並みがあり、窓からは午前中陽射しが降り注ぐ。ベースが三角形で造られた安藤忠雄氏の建築のため、会場は素晴らしいのだがこのポジションからでは構成要素が距離を持って点在していた。
 
 パノラマで誌面使用する前提ではないため横結合を選ばず18ミリで撮影を行った。SONYの3軸チルト液晶モニターのおかげでカメラを壁に寄せて2ミリ稼ぐことが出来た。
 
 アングルを決める際にいつも4×5の90ミリに近い24ミリを基準にアングルを決めていく。その位置から歪を利用する場合、圧縮やボケ味を使う場合、クライアントや表現の方向性によって寄り、引きとズームを合わせていく。いつも言うことなのだが物事には座標が必要である。そこからプラス、マイナス、能動的、受動的、そういうどちらの方向に動くのかを決めていく。座標がなければ時間をロスすることになり、リズムが悪くなり、結果に影響していく。私は型を持たないタイプだが座標はしっかり持つようにしている。
 
 この会場は明るく比較的撮影はし易いが、先程書いたが私には苦手な被写体である。正逆光でコントラストが立たない被写体を誌面映えするようにレタッチを考えながら光の方向性を決めていった。得意のライティングで逆光をベースとしながらサイドからの光を作り、発色の悪いフロントにいつもよりやや強めの光を入れてきた。イメージは明るい窓からの差し込む陽射しと、淡いトーンで構成されたコーディネートに鮮やかなお花。それぞれが描写され、設備にオープンキッチンがある。
 
 激戦の大阪で名匠がデザインをした建築物、また歴戦の支配人、スタッフがいてきっと素晴らしい結婚式を数多く施行するのだろうと思わせる会場だった。
 
 今回の話のコアはここにあります。
 写真を撮るためにそこにいる。しかしそこにはクライアントスタッフがいて、全てを俯瞰に見て行く先を確認する支配人がいて、その場でお花をカスタマイズするフラワーコーディネーター、その上全てを調和させるコーディネーター兼デザイナーがいる。初めて顔を合わせる人達もいる中で、目的をどこに向けているのか、何をするためにここにいるのかを表現しなければならない。ただ写真を撮るのではなく関わる人全てを巻き込み協力し合える現場を求めていきたい。
 046_1.jpg 046_2.jpg HARMONIE EMBRASSEE

Direction:Lei wedding/Styling:Atelier 78/Flower:studio setter